7月28日
キャンセルフライト六日目昨夜のRA深夜便に二人は間に合って大阪に戻ったのを確認せねばなるまい。奥田は彼女に会っているので忙しいだろう。小林は高知へ帰れたのだろうか?。
 8時にポカラをシャングリラ・エヤーが飛び立ったサイレンが鳴り、僕とアンプルバ、パサンディキ、奥田のコック、D.V.ライの載る一番機を待合室で今か、今かと待つ。 ニルギリ、下流の空からツクチェピークの頂上が今日は一段と美しく見える。ホテルのみんなと今日こそ飛ぶのは確実。全員に握手責めに合い、カタも皆んながくれた。「今日こそ100パーセント飛びますなあ」とアンプルバ。「バラサーブ、ポカラの空港かカトマンズで会いましょう」と二番機に乗るカルマ。「来年もお越しくださいね」とホテルの皆んなも嬉しそうに言った。「…・ン?」「何時…ン?」「どうして来ないの?」「もう、9時廻っとんヤン」「…・ン?」「どうしてでしょうね?」「ちょっとお茶でも呑みに行きましよう」とアンプルバ。ホテルに戻り「…ン?」「何時…?」時はどんどん過ぎてゆき…機嫌もどんどん悪くなりだして、昼食のダルバートの時間になって「本日もキャンセルとなりました」のお知らせ。もうガックリもしなくなった。
昼から、義理で弓道大会を若干見物して、カルマのトルボ雑学教室開始。

1) ポの女の子達に多い喉頭腫(甲状腺機能亢進症)について問う。チベット語でBAというらしいが、ビジョールやポの村に多いとも言っていた。原因は良く解らないけど私はビジョールまでしか行った事がないとカルマ。
2) クンバンジャンを越えた向こうネーユに地名ついては、本人は良く解らないのでシーメンの長老達に聞いておく、白岩窟のゴンパも、ゴンパはあるが名前はよく解らない。
3) クン・バンジャン、ルンチャンカモ・バンジャンを越えて、パチュンハム峰へは1日で行くことは可能でしょうね。
4) ニサルの女性が髪を結う(張付け)ているのをみたことがある。大きなものをテマ(へマ)といい108ケの細く編んだ髪をつける。小型のものはバリという。
5) シーメン、ティンキュー、ド・タラップ、ナムグンらの女性が付けているブリキ製の髪飾りテプは最近では殆ど見かけなくなった。若い女性は全くしていない。
6) ニサルのヤンツェルゴンパの大祭は毎年厳冬の2月に行なわれる。シェーゴンパの夏の祭りは7月で、12年に一度大祭が行なわれ、次回は2012年の夏である。
7) 地名の由来はシーメンは、シーは薪、木の意味でメンは薬を意味する。ティンキューはティンが“かかと”とか“地下に水がある”、キュー(キュウ)は大きな湖
8) 塩の交易はシーメン、ティンキューの人達はメパ、ツァルカの人達はサタラとすることが多く、その殆どがソバ、米、などであった。現在では殆ど行なわれなくなって物資の大部分がチベットから入る。チベット側の道路からヤク輸送での各峠越えルート。
ジョムソン(サンダ)へはバター、チーズが運ばれるのが多い。
ちなみに、ティンキューでの大谷映芳達NGOの病院建設の木材はカルマがラサまで出かけて、トラック輸送で木材をチベット側まで運んで来て、ヤクの背によってマリン(マユン・マリユン)バンジャン越えで運ばれた。
9) 現在の主要現金収入は耕作、羊、ヤクなどの売るのも少しづつ減り、アメリカ、カナダなどで最近人気の出てきた、ヤチャクンブー(冬虫夏草)は自然のバイアグラとして珍重され出し、トルボでは3種類のものが採取されている。エリックの写真集“Caravans of the Himalaya”に出てくるゴールデンカラーは以前10Rsであったが、現在では60Rs/1匹。同じ値段のブラウンカラーは1999年、ムグへ抜けるときに沢山採れたもので、ブラックカラーの小さいのは安くて5Rsであるが、今はこれも30Rsもする。昨年、私達の知ってる「?レムさん」はこれを60Kgも購入した。乾燥させてあるので1匹0.8gとして75.000匹も…・。これまでは、チベットへ流れていたが、どうやらチベット経由香港、そして…・・。これだけの数を一度には集められない。大きな仕事をやってる「Xさん」でなければ…・とカルマは言った。今でもチベット密売は続いて入るが、さて経路は…・・?。書けまへんがなこれ以上。
10)カンジェラルワの意味はヒマラヤ名峰辞典でヨシナガはんが書いてる「すだれ状に編んで垂らした女性の髪の大きな山」そのとおりなんですが、この編んだ髪の毛模様はツォカルポカン北壁の岩模様がそうで、この模様からこの辺りを昔からカンジェラルワと言われていて、現在、HAJ‘73隊の初登頂6612mの山になってるけど、カルマはツォカルポカンをカンジェラルワといった。トルボの人達にとって西に見える大きな雪山のことを今では指すようになった。カルマはカルマロンのことも知っていた。ちょっと!ちょっと!ムスタンの報告ですよ。トルボはこのくらいでヤメましょうよ!。乞うご期待2003年とします。
 
パンザンコーラの右岸、ヤンツェルゴンパのすぐ東のニサルのおばさんと
こどもはカンジェラルワを編んでいたが、二、三人のおばさんが髪結いをしていて、中には付け毛の女性もいる。
 


奥の村のおばさんらは洗髪をしない。髪の毛を石鹸で洗いなさい。と渡したが泡立たない。
先ず、洗濯粉で洗ってから、シャンプーで洗ったら奇麗になりましたなあ。この編み目が
108あるんであります。 大谷映芳写真集「トルボ」よりコピーしたものです。

 
ツォカルポカン峰北壁でビジョールからヤンブル・バンジャンへの上がる途中から撮った
北壁の岩壁は、ちょうど髪の編んだ模様にソックリでしょう。
 

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