7月27日

「トルボの男は朝が早い」ツルジムはプルバ君にそう言った。で、あるからして「我々ティンキューマンチェは早立ちするのだ・・・?」そんな訳でキャンプを6時前に出発することになった。右斜めの丘に向かって進むと背後の川向こうの6072mの斜面に陽があたり、'99年にマリンツォの西の丘に上がった辺りが望見出来る。その右手向うに見覚えのある風景が微かに広がっていた。撮影ポイントはチュンクン・コルシャ(崗貢川)の右岸に延びる尾根、ピンドゥー・ラ(平都拉)から正面に見える5925mピークから、5922m、5953m、5900mへと北に延びて尾根末端の丘につながっている。丘に出ると強い陽が眩い。極端に広い高原から振り向く西は、北へと「まっ平な河原」の中にツァンポの流れが・・・。所々にケルンがある所を東に進んだ。そうしてGPS 5343m N29 24 033 E83 32 582 崖上に立った。

眼下にシジェルからゴシャルと呼ばれる大平原とムスタンヒマールのマンサイル6235mから北に延びる山々がつながり、視界に入らない180度以上右には、カチ・コルシャ(各凡川)の右岸と左岸にある6000m級の山々が見えた。左岸の山はチュンクン・コルシャの5900mの山々で川の東側だが、カチ・コルシャ右岸には6000m級の山はつながっている。ここからゴシャルへ降りるには、急なガラ場を下らねばならない。川原へ降りたら、眼下の大きな湖に寄って魚を捕ろうと言っていたが、「トルボの男は魚は食わない」とプルバ君は言うので先を急ぐ。流れは膝までの深さで、渡り終えて再び丘を登る。ここからもまた、どこまでも平らな5100mラインの高度を、小さな登り下りを繰り返してSE方向に進んだ。

東の正面のマンサイル峰北に延びる6000m級の山々の中で、最も高い三角形に尖った岩峰6369m(?)これは'99年マリユン・ツォ(マリン・マユン)の西の丘に上がった時にアルニコチュリー?と思った山で、とにかく「ド・でか過ぎる広さに・・・」には仰天、興奮もして間違いもする。コンパスグラスで測っても思い込みの方が勝ってしまう。どうも高いところから観ては確信がもてなく、平らなところから計測をしっかりせねばアカン。この立派な岩峰6369mはこの山塊では一番高い、ティンキューのプルバ君はDong Lung Kang(Dongは野生のヤク、Lungは高所の意)と土地の人から聞いたと言った。彼は石彫り職人でティンキューにいる時はマニ石を彫ったり、ムスタンヒマールのチェーキャップ・ラ付近の薄い平らな石が柔らくて彫りやすい。これをカトマンズへ送っている。これもローモンタン経由の密輸?何度もこの辺りへは来ていると言った。冬はポカラのチベッタンキャンプでお土産用の石細工の彫刻を彫っている。(カトマンズのスワヤンプナートの山門階段でナムグンの男達が売っている石細工の彫刻と同じもの)丘の山側の高い所をトラバースしているジャングル・カンチャとクマールの二人がスカイラインを歩いているのが小さく見える。ボク達はそのまま東南に進んで、ラカナディ川の流れの近く、ドン・ルン・カンがE91に見える所で大休止の昼食を摂った。日差しはきつくTシャツ一枚になる。ここから南にキャンラドボ(山の中腹の残雪がキャン(野生驢馬)の顔にある斑点に似ていることから・・・)を目標にして進む。このようにチベッタンやトルボの男は方向を定める目印の山がどこにでも、いくつもある。2時前、突然雷鳴!一転俄かに大粒の雨、土砂降りとなり、全員集まった所で慌ててキッチンテントを張り「雨宿り」をすることにした。4時頃になっても降り止まずテントを張ってEPIガスをガンガン焚いて、濡れ物を乾かした。今日はここでキャンプとする。GPS 5116m,E29 21 173 N83 38 492
 
チベッタンテントのすぐ下流には、マリユン・ラ(マリン・マユン)の中ネ国境線が南北に人の顔に良く似たラインになっている。(N29 22〜25 E83 24〜E83 26の辺り)無名谷の真っ黒な雲の中へと延びていて 雲のかかった5842m、奥の最低コルは国境の5600mである。向うはMukuden Kholaの中俣
 
左端の写真の切れた辺りがマリンツォから西へ上がった尾根で、遠く北にチベットの山々がうねって見えた。更に丘に上がれば良く見える。
 
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上の写真から丘上に出た写真で、左が6072m、右が6065mだがマリユン・ラ(マリン・マユンバンジャン)は、こいつの12.5Km真後ろにある。この北の尾根が雲の影になっている所、雲が三つ浮かんでいる左の雲の下辺りに'99年ボク達はマリユン・ツォ(湖)から上がって、こちらを観た。慧海師、ピンドゥー・バンジャン越境説はとても白岩窟へは遠いのでる。写真の同じ三つの綿雲の二つ目の雲の下から三つ目に、微かに霞む低い山並み方向が、ゴシャル・ゴンパの方向なのであるが、ここから直線的に向かったとしても50キロ以上ある。慧海師の日程では、とても行けないだろう。
 
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丘の上からSW方向を観ると下って来たチュンクン・コルシャの谷、北に延びた尾根の丘は、こんな具合に広い尾根末端で左の一つ目の谷が、カチ・コルシャの谷。奥の黒い岩峰の左の雪山はロシアンマップの6000m、C/N B-Map6022mだろうか?。左の雲が東に流れる山はロシアンマップ6270m(C/N B-Mapでは記載なし)に違いない。
 
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広い丘(尾根上)を東へ崖上まで進むと、シジェル(ラカナディ川との合流点付近)、ゴシャル(大きな湖からと呼ばれる曲がりくねった手前の流れ)流はカチ・コルシャで、ここから本流のラカナデイ川は見えない。昨日の雨が降雪となって白く輝くお椀状姿の山々の間へ東南に入っているのはチュラ・ツァンポで、写真真中の頂上付近に新雪が積もり、真っ黒な二つの前山の間の奥の方へSEと進んで、この山麓に出てキャンプ。ここはカルカップ・ドゥという地名が付いていて、所々に大きなケルンがSE方向に並んでいた。写真の左端、カチ・コルシャが見え出すNE40方向の山のコルはチャットカルキン・ラで、ラカナディ川本流の向う側に自動車道路として山裾の平らなところが利用されていて、ラカナディ川右岸を左から右(北から南東へ)横切っている。
 
写真中央のムスタンヒマール北側チベット延びる山脈があるが、その最高峰のドンルンカン岩峰はマッターホルンのようだ。撮影場所は昼食を摂ったラカナディ川左岸のケルン GPS 5071m N29 22 780 E83 36 923 デジカメ最望遠なので画像が汚い。(後日、ポジ、DVCの静止画像で再UP)
 
トルボ、ムスタンなど乾燥地、強風の吹く地帯には良く咲いている花、もちろんヒマラヤ4000m〜5000mにも見かけることが出来る、プロミス・ロタータ(Phomisrotata)は紫色で葉はもっと広く、茎や葉にはトゲがあるけど、こいつは同種かも知れないが、青い実のようなものがあって葉っぱも細長い。
 
暗くなり始めるころに西の空に夕焼け・・・、日本なら好天が約束されたと言えるけど、トルボやチベットでは信じてはいけないのだ。

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