チベット犬LIMIの成長記録(2001年1月8日 No.4)

年末年始はバラサーブ・タイフーン、純子さん、ツー君らは、またもやカトマンズに 出かけましてゼネストの市内を歩き、「チョー疲れた」とお留守番と僕の「お散歩」 バイトの「まどかちゃん」とボーイフレンドの「トシ君」に説明しました。 日本のお正月は静かで、まどかちゃんはお正月料理を僕に奢ってくれました。 とてもおいしいジャキーの太いのを買ってくれました。  タイフーンさんは「お前のお嫁さんを連れて帰ってやるから静かにお留守番する のですよ」と約束したのに「ゴメン!ネパール人になってしまって・…!」といいま した。

「バラサーブ?これがあの小さかったLIMIちゃんでつか?」とバラサーブ・タイ フーンの背後から弱弱しい声がしました。 「タパインコ・ナムケホ?でつか?」とリミ谷方言で問いましたら 「メロナム・ギャヌー・ダハドール・ラマでんねん」と、こいつもトリスリ東の方言 で答えて小声で 「ナマステ!」と言ってので「ウ・ウ・ウーウ・ワン」と威嚇してやったら「カタラ ・ククル」と言って後ずさりしました。 「何で僕のガールフレンドを連れてこんかつたんや!おつさん!」とやや 興奮気味に感情的発言となって「つい、おつさん」と僕は言ってしまいました。 「お!おつさん?」 「誰に言うとんじゃ」とバラサーブはネパール滞在中のいつもどおり興奮状態 でどなり返し。「アンプルバ!タケ!ツルジム!こいつを殴れ!」と申される寸前錯 乱状態となりそうでしたので……。 「ヤバイ!ヤバイでんがな・・・・」 これはバラサーブがいつも登山中に発言されるお言葉! 「しまつた!OBAHANsにしておけばよかった」 「間違い!マチガイ!ごめんやつしゃ、カンニンでつせ」

純子さんが「ごめんなさいねLIMIちゃん、アホでしょうバラサーブ!」 「またネパール人なんか連れて帰って来て・・・・」「・・・・・・・ねえー!」

するとバラサーブは突然、「洗髪をする」といい狂乱状態のまま直立不動で 「新世紀を迎えるにあたりLIMIも身を清めねばならぬ」と騒ぎつつ訳の解らん発 言をしました。 「身を清める?????」「まさかあのサジェ・コーラ渡渉時のように氷のような川 の中に!」 「ま・まさか今からお水に全身浸けられるのでは?」

「・・・・・フン?」「温かいジャン?」「何?これつて」 バラサーブ・タイフーンさんは珍しく純子さんに指令を出して 「2杯目のタトパニをお風呂から持って来て来なさい」と大声で言いました。 「タトパニ?お湯?」「なんじゃこれって?」 やがて2杯目も全身に温かい水がかけられて・・・・。 シャボンを塗りたくられまして……。 「ウン?これつて気持いいけど・・・・・?」 「ワアー!目に石鹸は入りましたがな」 「ギャー!沁みまんがな!イテーなあもうー」 何度も、何度もタトパニを運んだ純子さんが「バラサーブ!これでおしまい!」とい いまして、私の新年度身を清める儀式は終了しました。 「終わった!終わった!」と全身ずぶ濡れのバラサーブ・タイフーンも満足気味に微 笑みました。 真黒な長い毛は美しい光沢を放ち、いい香りが僕の体臭と混ざつて気持がいい。 さつぱりしましたなあ。なかなか洗髪?洗毛?というのはいい習慣なんですね。 リミ谷の連中もしたらいいのになあー。と思いました。

2001年を迎えてタイフーン一家はやっと僕を家族の一員として迎えてくれようと しています。 なにせ始めての経験なので彼等も要領が解らず、「犬の飼い方」とかいう本を読みつ つ始めた僕との共同生活も新世紀を迎えて頭乱万丈、尻離滅裂、焼肉強食などの 困難な日々を過ごそうとしています。 極西北ネパールのリミの谷もいいけど、ここ大阪狭山も少しいいような気もして きました。今年もバラサーブ・タイフーンは西ネパールとチベツトの国境周辺のお山 に出かけるらしく吉永先輩、水谷先輩らと綿密な計画を練っているようです。 「お土産忘れたらアキまへんで・・・・、大事なお土産を・・・」

リミ「フン?」「何だか温かい水?」「石鹸・・・?」
リミ「確かサーダー・アンプルバがベースキャンプでこんなことを…?」
リミ「でも、あの時は冷たかったなあー」
タイフーン「こんな重要な仕事のある時にアンプルバもタケもおらんのおー」
リミ「太いリード(綱)と補助ザイルを2重にしてオーバーな人でんな」
リミ「ギャー石鹸が目に入りましたがな・…!」
バラサーブ「アホ!このくらいのことでひるむな」
リミ「おっさんヤメとうくれやす」・・・・・・・・・小声で
バラサーブ「誰に言うとんじゃ」
リミ「そんな!もう十分洗つてまんがな」「カンニンにてえなあ」
バラサーブ「アホ言うな!これから頭洗ろたるさかいに・・・・」
リミ「どうでもしなはれ・・・・」
バラサーブ「ホラ!気持ええやろう」
リミ「フン!どこが・…?もう早よ上がり湯かけてチョーダイか」
リミ「風邪ひきまんがな」
バラサーブ「ホンにお前は可愛いヤツじゃのう」
リミ「おつさんええかげんにヤメえーや」・・・・・超小声
バラサーブ「・・・・ン?、なんか言った???」
リミ「・・・・・・・・・・・!」・・・・・・・・・・無言